この記事はこんな方におすすめです:
- S3 + CloudFrontで静的ブログを運用している
- WordPressに移行するか悩んでいる
- AWS初心者だけど自力で構築したい
上記に当てはまる方に向けて、AWS Lightsailを使ったWordPress移行の実体験をまとめました。
なぜ移行したのか~HTMLサイトの3つの限界
これまで当ブログをAWSのS3 + CloudFront構成で、静的サイトとしてHTMLで運用していました。
コストは安く(ほぼドメイン代のみ)、表示速度も非常に高速でしたが、運用を続けるいくつかの課題が出てきました。
1.記事更新が大変
記事更新の際、毎回HTMLを編集して投稿しなければならず、ChatGPTを活用しているとはいえ、手間でした。また、関連記事やホームページの記事カードの更新など、変更する箇所が多く大変で、本来の「記事を書く」という目的に時間がさけないという問題がありました。
2.SEO対策が手作業で負担大
ChatGPTを使えば、ある程度は自動でmetaタグ、構造化データ、サイトマップの管理を行うことができますが、検索エンジン対策に本格的に取り組むには現実的ではありませんでした。記事が増えるほど管理が複雑になります。
3.デザイン変更やレスポンシブ対応が面倒
サイト全体のデザインを変更したい時、すべてのHTML・CSSファイルを修正する必要があります。また、スマホ対応なども自力で実装する必要があり、デザインの自由度と引き換えに大きな手間がかかっていました。
ChatGPTを使えば同等のサイトが作れるのではと努力していましたが、毎回AIに指示してHTML・CSS・JavaScriptを個別に生成・貼り付けする作業は、負担が大きいため、より記事執筆に専念するために、WordPressへの移行を決めました。
移行前後のコスト比較とLightsailを選んだ理由
月あたりのコスト比較(10記事、月500PVを想定すると)
項目 | HTML(S3 + CloudFront) | WordPress(Lightsail $7) |
---|---|---|
ストレージ費用(S3) | 約 $0.05(約7.5円) | 含まれる(Lightsail内) |
転送・リクエスト費用(CloudFront) | 約 $0.10(約15円) | 含まれる(Lightsail内) |
ドメイン管理費(.comは年間$14) | 約 $1.17(約175円) | 約 $1.17(約175円) |
サーバー費用 | なし(サーバーレス) | $7.00(約1,050円) |
合計 | 約273円/月 | 約1,300円/月 |
※為替レートは1ドル=約150円で換算
月1000円の差はありますが、私がブログを始めた理由(収益化というよりは、自分の成長のため)を考えて、月1000円は自分への投資と考えて移行しました。
レンタルサーバーやEC2ではなくLightsailを選んだ理由
他の手段も少し考えました。ただ、
- レンタルサーバーではなく、AWSの勉強を兼ねて自分でやりたい。
- EC2+RDSは設定が複雑でコストも高い。
という理由から、Lightsailが最適解でした。
移行でやった簡単な流れ
1. Lightsailの環境構築
Lightsailの作成は驚くほど簡単でした!
- 「Linux」→「WordPress」プランを選択
- $7プランを選択($5プランでも動きますが、将来的な拡張性を考慮しました。)
- デュアルスタックを有効化(IPv4/IPv6両対応で必須。)
- インスタンス名を設定して作成ボタンをクリック
わずか5分でWordPress環境が完成し、IPアドレスでアクセスするとBitnamiのWordPress初期画面が表示されました。
2. WordPress初期設定
管理画面への初回ログイン
http://[IPアドレス]/wp-admin
にアクセス- ユーザー名:
user
- パスワード:Lightsailコンソールから「デフォルトのWordPress管理者パスワード」を取得
基本的な設定
- サイトタイトル・キャッチフレーズの設定
- パーマリンクを「投稿名」形式に変更(SEOに有利でシンプル)
- Cocoonテーマのインストールと基本設定
- 必要なプラグインのインストール(プラグインに関しては別の記事にまとめる予定です!特にLightsailとの相性の良し悪しなど。)
3. コンテンツ移行
既存の6記事をHTMLからWordPressに移行する作業はけっこう時間がかかりました。
移行手順
- 既存HTMLファイルからテキストコンテンツをコピー
- WordPressの投稿画面にペースト・整形
- 画像をメディアライブラリにアップロード(1200×630px、100kb以下に最適化)
- アイキャッチ画像の設定
- 画像の代替テキスト(alt属性)設定
- 内部リンクの修正
手動での移行は1記事あたり約15分かかりましたが、過去の記事を少し見直してブラッシュアップできました!
4. SSL設定
SSL/TLS証明書の設定が一番苦戦しました。
最初はCloudShellを使って設定しようとしましたが、途中で少し間違えて、プラグインの動作不良でログインできなくなるなど、ここで一番時間を取られました。
最終的にはLightsail CDNの機能を使って解決しましたが、事前に調べておけばもっとスムーズだったと反省しています。
その他、UIの細かい調整(記事カードのPV数表示オフ、サイドバーのウィジェット調整等)を行って移行完了しました!
移行後に感じた、LightsailのWordPressサイトのメリット
1.記事更新が圧倒的に楽に
WordPressのGUIエディタで、記事作成から公開まで完結するようになりました。そのため、電車でもスマホから記事を書けるようになり、記事を書くハードルが下がりました。
2.サイトマップやパンくずリスト、記事カード作成が自動化
プラグインやCocoonテーマによって、サイトマップなどが自動生成されるようになりました。これまで手動で行っていた作業が自動化され、記事を書く手間が大幅に減少しました。
3.デザイン変更やレスポンシブ対応が簡単
テーマの着せ替えが簡単で、スマホ対応も標準装備。サイト全体のデザイン変更が数クリックで完了するようになり、自分のやりたい・変えたいと思った機能が簡単に実装できるようになりました。。
移行を検討する方へのアドバイス
事前準備のポイント
画像の最適化
WordPressでは画像サイズが表示速度に直結するため、事前に適切なサイズ(アイキャッチは1200×630px、ファイルサイズ100kb以下)に最適化しておくことをおすすめします。EWWW Image Optimizerというプラグインを入れると、画像アップロードで自動的に圧縮してくれるのでお勧めです!
SSL設定方法の事前調査
移行作業で私が実際につまずいたポイントです。LightsailでのSSL設定方法を事前に調べておくことで、スムーズな移行が可能になります。
Lightsail選択時の注意点
プラン選択は$7が無難
$5プランでも動作しますが、管理画面での操作が重くなりがちです。快適な運用を考えると$7プランがおすすめです。
デュアルスタック設定は必須
IPv4とIPv6の両方に対応するため、必ず有効化しておきましょう。
自動スナップショット機能はとりあえずオフでOK
バックアップ機能ですが月$2の追加料金がかかります。最初のうちは手動バックアップでも十分対応可能です。また、プラグインでも十分対応可能です!私はBackWPupというプラグインでバックアップをっています。
まとめ
HTMLサイトは軽量であることやコストが安いなどのメリットがありますが、実際の運用負荷軽減を考えるとWordPressが圧倒的に現実的な選択肢です。
2025年現在、WordPressが全ウェブサイトの約43.5%を占めている理由も、この運用面での利便性にあると感じました。
特に「記事を継続的に書き続ける」「SEO対策に本格的に取り組む」「デザインを柔軟に変更したい」という要望がある方には、月1,000円程度のコスト増は十分に価値のある投資だと思います。
これからブログ運営を本格化させたい方や、HTMLサイトからの移行を検討している方の参考になれば幸いです!
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